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弁護士探し・選びを考えている方にお勧めの本

 本ホームページは,トップページで,弁護士の探し方・選び方(弁護士・法律事務所のホームページ等の見方・読み方)について,比較的詳しく論じました。これをご覧になった皆さんの多くは,他の法律事務所のホームページとは大きく異なる構成・内容に違和感を覚えたのではないかと思います。
 私がこのようなホームページの構成・内容にしたのは,弁護士業界をよく知らない一般市民の方々が何らかの法的トラブルに巻き込まれたときに,弁護士の探し方・選び方が最も重要な情報になると思ったからです。
 多くの方々は,何らかの法的トラブルに巻き込まれたとき,弁護士に相談・依頼する前に,まずはご自身でその解決策を探そうとすると思います。しかし,十分な知識がなければ,ご自身で調べた解決策が果たして適切なものであるのか否か判断し難いと思います。したがって,最初から解決策を尋ねたいという場合だけでなく,ご自身で考えた解決策が適切であるかどうかを判断してもらうためにも,弁護士に相談してみるのが安全ではないかと思います。そうすると,その事件を弁護士に依頼するか否かに拘わらず,結局は弁護士への相談が必要になり,そのときは,どの弁護士に相談すべきかということが問題になります。その意味で,弁護士業界をよく知らない一般市民の方々にとっては,何らかの法的トラブルに巻き込まれたとき,弁護士の探し方・選び方というのが最も重要な情報になると思います。

 皆さんにとって,弁護士に自らの事件を相談・依頼するというのは人生の中で滅多にないことだと思います。一般市民の方々が弁護士に相談・依頼するというのは,人生の一大事ともいえる場合が多く,それだけに弁護士探し・選びには慎重になるはずです。そのため,弁護士・法律事務所のホームページその他宣伝広告を見ても,どれが本当のことを言っているのか,どの弁護士が信頼できるのかと,疑心暗鬼になるのではないかと思います。本ホームページをご覧になった方々の中にも,その内容に疑念を抱いた方が少なくないかもしれません。
 そこで,そんな方々のために,つい先日(平成30年2月9日)出版されたばかりの1冊の本をご紹介したいと思います。「Q&A 弁護士業務広告の落とし穴」(第一法規株式会社・深澤諭史著)という本です。
 この本の著者は弁護士である深澤諭史氏で,その内容は,弁護士がホームページ等の業務広告を出すにあたっての注意点が解説されており,主に弁護士向けに書かれたものです。一見すると一般市民の方々には関係がないように見えるため,仮に書店でこれを目にしても,そのタイトルに魅かれてこの本を手に取ってご覧になった一般市民の方は極めて少ないのではないかと思います。しかし,実際には一般市民にも無関係ではなく,私が知る限り,弁護士探し・選びを考えている方々にとって,弁護士・法律事務所のホームページその他業務広告の見方・読み方(その背景事情の捉え方)を知るうえで,最も有益な本であると思います。なお,私は,深澤諭史弁護士とは全く面識がなく,何の利害関係もなく,彼の著書の売上に貢献しようという意図もありませんので,念のため,付言しておきます。
 多くの方々は,弁護士を探そう(選ぼう)というとき,まずは弁護士・法律事務所のホームページ等をご覧になると思います。したがって,弁護士探し・選びのポイントは,弁護士・法律事務所のホームページ等の見方・読み方(その背景事情の捉え方),つまり,その弁護士・法律事務所のホームページ等が本当のことを言っているのか,その弁護士・法律事務所が信頼できるのか(その判断方法),ということだろうと思います。深澤弁護士の著書は,弁護士向けに書かれていますが,それだけに弁護士業務広告の裏事情(弁護士業務広告の実態や弁護士の本音など)がよく分かり,弁護士・法律事務所のホームページ等が本当のことを言っているのかを判断するうえで最適の本であるといえます。

 この著書は,本ホームページでも述べたように,弁護士と一般市民との間の法律・弁護士業界等に関する情報格差から,一般市民が弁護士の能力・実績等(その判断方法)を誤解していることを指摘したうえで,弁護士・法律事務所のホームページその他業務広告上の,実績・解決事例の表示の問題点(誤導・誤認,誇大広告),「〇〇専門弁護士」や「〇〇に強い弁護士」といった宣伝文句の問題点(誤導・誤認,誇大広告)などを具体的に解説しています。
 特に,日本弁護士連合会(日弁連)の「業務広告に関する指針」(第3-12⑴)では,「専門」表示は一般市民に対する誤導のおそれがあるため差し控えるべきであるとされているにもかかわらず(「強い」も同様であると思います),そのような「専門」や「強い」の表示が横行しています。そのため,真に専門的能力を有する弁護士が同指針を誠実に遵守している(「専門」や「強い」の表示をしていない)がために,一般市民にはその能力が正しく伝わらず,逆に,専門的能力を有しない弁護士が同指針を遵守せず「専門」や「強い」の表示をしているために,一般市民には専門性の高い弁護士であるかのように映り,あたかも前者よりも後者の方が専門性の高い弁護士であるかのように見えているといった,「専門の逆転現象」が生じていることが指摘されています(90頁以下)。

 なお,参考のため,以下,日弁連の「業務広告に関する指針」第3-12⑴を掲載します。
 「専門分野は,弁護士等の情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。一般に専門分野といえるためには,特定の分野を中心的に取り扱い,経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解されるが,現状では,何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。専門性判断の客観性が何ら担保されないまま,その判断を個々の弁護士等に委ねるとすれば,経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害も生じるおそれがある。客観性が担保されないまま専門家,専門分野等の表示を許すことは,誤導のおそれがあり,国民の利益を害し,ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあるものであり,表示を差し控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト,プロ,エキスパート等といった用語の使用についても,同様とする。」

 昨年は,一般市民を対象にテレビCMなどで広く宣伝広告している大手(所属弁護士の頭数が多い)法律事務所及びその代表弁護士が,景品表示法違反(有利誤認表示)を理由として東京弁護士会により懲戒処分(業務停止処分)を受けました。この業務停止処分が妥当であったか否か(重すぎるのではないか)については議論のあるところですが,いずれにしても事実と異なる広告が行われていたことが問題となりました。他にもインターネットを見れば,同様に一般市民を対象に広く宣伝広告している大手(所属弁護士の頭数が多い)法律事務所の広告表示の問題点を指摘する記事をよく目にします。いずれの法律事務所の代表弁護士その他所属弁護士も多数テレビ出演していたようです。
 皆さんの中には,テレビCMをやっている,所属弁護士がテレビ等のマスメディアに出演している,あるいは,広く宣伝広告している法律事務所を「信頼できる弁護士・法律事務所」と思う方も少なくないのではないかと思います。しかし,そのような「思い込み」には何の合理性もないことは,上記事例からも明らかです。
 皆さんには,以上のような弁護士業務広告の裏事情(弁護士業務広告の実態や弁護士の本音など)をよく把握したうえで,弁護士・法律事務所のホームページ等の表面的な内容の騙されず,正しい弁護士探し・選びをしていただきたいと思います。

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