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空き家問題

このコラムは,弁護士業界,裁判・法律問題,その他時事問題,身の上話などについて,当事務所の弁護士が率直に思ったこと,感じたことを気ままに書いたものです。最初のテーマとして,以前から関心を持っていた空き家問題を取り上げてみました。

空き家問題が社会問題として取り上げられるようになってすでに久しく,平成26年11月には空家等対策の推進に関する特別措置法が公布され,最近でも,空き家問題が新聞,雑誌,その他出版物やインターネット上で取り上げられているのを頻繁に目にします。弁護士の間でも,空き家問題,空き家対策が取り上げられることが多くなりました。言うまでもなく,空き家問題は,現在の日本が抱える深刻な問題であり,今後ますます少子高齢化・人口減少が進行する中で,より一層深刻な問題となっていくことでしょう。

私は,以前から高齢者問題や地域コミュニティ問題に関心を持ち,これをライフワークにしていこうと考え,これらの問題を扱うNPO法人にも所属しています。その縁で,平成26年10月17日には,埼玉県が主催した「空き家問題をテーマとした講演会」(宮代町会場)で,地元(春日部市,宮代町,杉戸町,幸手市周辺)の建築士その他不動産関係者を対象として,「空き家対策と諸問題」というテーマで講演を行いました。参考として,そのときに参加者の方々に配布したレジュメを添付します(pdf「平26.10.17空き家問題講演会レジュメ」)。

このレジュメに記載したとおり,空き家問題は,単に空き家を所有する個人の財産管理や処分ないし活用の問題にとどまらず,周辺住民の生活環境の悪化をもたらし,地域内の空き家が増加すれば,自治会や地域コミュニティの機能不全の問題も引き起こします。特に,マンションでは,マンション管理組合の機能不全(日々のマンション管理や修繕計画を進められないなど),延いてはマンション全体のスラム化にもつながり,戸建てよりも深刻な問題となります。さらに,より大きな視点で見れば,行政の住宅政策や都市政策の問題にも関わってきます。

このように,空き家問題は,空き家を所有する(あるいは将来相続する可能性のある)方々だけでなく,皆さん(特に自宅周辺や自宅マンションの建物内に空き家のある方々)にも関わる問題であり,国民全体で考えていかなければならない問題であると思います。

さらに,人口減少が進行する中で新築物件が増え続ければ,住宅市場が供給過剰になって,不動産の価値も恒常的に低下することにもなります。日本では新築志向が根強いですが,いま新築で購入した物件が将来は売れなくなる「動産」になる可能性もあります。これまでは,結婚して家庭を持てば,長期の住宅ローンを組んで新居を購入するというのが普通の考え方でした。しかし,これからは,定年まで安定した収入が保障されるとは限らず,先行き不透明な社会・経済情勢の中で長期の住宅ローンを抱えるリスクもありますので,資産運用や住まいのあり方について考え直すべきときかもしれません。

こんなことを言うと,不動産業界から「商売の邪魔をするな」と言われるかもしれません。しかし,不動産業界も,このような現実を見据えて,顧客・消費者にとってメリットになる提案をするという「顧客本位」の姿勢で仕事に取り組めば,顧客・消費者からの信頼も得られて,新たな市場(空き家の活用,リフォーム市場など)の開拓にもつながり,長い目で見れば自らの利益にもなるのではないでしょうか。先ほどの「空き家対策と諸問題」というテーマの講演でも,私は,建築士その他不動産関係者の聴衆を前にして,このようなスタンスでお話しました。しかし,決して聴衆の皆さんから不評を買うものではなく,皆さんも,現実問題を直視して,これからの建築業界・不動産業界のあり方について真剣に考えていこうという姿勢が見受けられました。

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