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6.どのような基準で弁護士を選べばいいのか?(弁護士の「能力」と「人柄」)

6.どのような基準で弁護士を選べばいいのか?(弁護士の「能力」と「人柄」)

① 弁護士選びの基準は「能力」と「人柄」

誰しもが,「能力が高く,人柄のいい弁護士」に依頼したいと考えるでしょう。たとえ能力があっても,依頼者の利益を軽視して暴利を得ようとしたり,傲慢な態度を取ったりするような弁護士は信頼できないでしょう。また,人柄がいいだけの弁護士も頼りになりません。
 それでは,弁護士の能力や人柄をどのような基準で判断すればいいのでしょうか。

② 弁護士の「能力」は「解決事例」で判断する。

自称「〇〇専門」,「〇〇に強い弁護士」,「当事務所が信頼される理由」,「相談実績〇〇件」などが当てにならないのは当然ですが,世間の評判なども必ずしも当てになりません。雑誌やネットなどで「弁護士ランキング」,「〇〇に強い弁護士」といった記事をよく見かけますが,これも多くが宣伝広告の手段(広告記事)であって,記事を掲載している業者に広告料を支払って載せてもらっているということがよくあります。
 結局,弁護士の能力を判断するには,その弁護士が実際に携わった解決事例を見るほかないと思います。

弁護士が実際に携わった解決事例を調べるには,判例データベース「Westlaw Japan」などを利用するのが効率的ではないかと思います。「Westlaw Japan」では,弁護士名を入力すると,その弁護士が実際に携わった裁判例を検索することができます。
 ちなみに,「Westlaw Japan」でキーワード「徳本俊二」を入力して検索すると,新しい事件から順に,次の15件の解決事例が表示されます(平成29年12月1日現在)。ベテラン弁護士になれば,こんなものではなく,もっと多くの解決事例が出てくると思いますので,一つの参考にはなると思います。
① 東京地裁平成27年12月8日(判決日)・平成26年(ワ)第32752号損害賠償請求事件(事件番号)
② 東京地裁平成27年4月28日・平成26年(行ウ)第573号裁決取消等請求事件
③ 東京地裁平成26年10月10日・平成24年(ワ)第30618号貸金返還請求本訴,平成25年(ワ)第25002号損害賠償請求反訴事件
④ 東京地裁平成26年8月28日・平成25年(行ウ)第403号退去強制令書発付処分取消等請求事件
⑤ 東京地裁平成25年2月21日・平成23年(ワ)第10029号建物明渡等請求事件(本訴),同第16439号敷金等請求事件(反訴)
⑥ 東京地裁平成24年9月27日・平成23年(レ)第1692号損害賠償等請求控訴事件,平成24年(レ)第204号同附帯請求控訴事件
⑦ 東京地裁平成24年9月13日・平成22年(ワ)第31913号保険金請求事件,平成24年(ワ)第18700号承継参加事件
⑧ 東京地裁平成22年2月19日・平成20年(ワ)第33253号譲渡代金請求事件
⑨ 東京高裁平成22年2月18日・平成21年(ネ)第2526号損害賠償請求控訴事件
⑩ 東京地裁平成21年3月31日・平成20年(ワ)第18175号損害賠償請求事件
⑪ 東京地裁平成20年9月9日・平成18年(ワ)第17013号地位確認等請求事件
⑫ 東京地裁平成20年5月13日・平成19年(ワ)第11577号損害賠償請求事件,平成19年(ワ)第14772号損害賠償請求事件
⑬ 東京地裁平成20年4月25日・平成18年(ワ)第29624号損害賠償等請求事件
⑭ 東京地裁平成20年4月25日・平成17年(ワ)第19438号遺留分減殺請求事件
⑮ 東京地裁平成20年2月13日・平成17年(ワ)第24279号営業譲渡金等本訴請求事件,平成17年(ワ)第26387号反訴請求事件

もっとも,「Westlaw Japan」で検索できる裁判例は,すべての裁判例のうちのごく一部にすぎません。また,和解でうまい落し所を探って裁判所や相手方を説得して解決するというのも弁護士の重要な能力の一つですが,和解で終結した事件は掲載されていません。さらに,裁判の勝敗が必ずしも弁護士の能力を反映しているわけではありませんので,なかには,多くの素晴らしい解決を成し遂げ(「負け」を最小限度に抑えた),特に和解で多くの素晴らしい解決を図った弁護士について,そのような成果が解決事例に表れていないということもあります。
 しかし,「Westlaw Japan」の解決事例は,弁護士の能力を判断するうえで一つの参考にはなると思います。各地域の比較的大きな図書館には「Westlaw Japan」を無料で利用できるところも結構あるようなので,図書館を活用するといいでしょう。

そうはいっても,一般の方々はなかなか「Westlaw Japan」など判例データベースを利用できる機会はないかもしれません。そこで,差し当たり,各法律事務所のホームページに掲載されている解決事例を見るのが最も簡単で現実的な方法であると思います。この場合,「その解決事例は本当なのか」,「架空の解決事例を載せているのではないか」との疑問が生じるかもしれません。
 一つの目安として,解決事例が具体的に記載されている場合(特に事件番号やその裁判例が掲載されている法律雑誌等が引用されている場合)には,信用性が高いと思います。一方で,「お客様の声」などとして抽象的な記載しかない場合には「本当なのか」と疑いたくなりますが,このような場合でも,依頼者の顔写真や氏名が公表されていたり,依頼者からの直筆の手紙が一緒に掲載され,その中で事件の具体的内容が記載されていたりするときには,ある程度信用できるかもしれません。

解決事例から弁護士の能力を判断しようとする場合,たとえば,債務整理を依頼しようとする方は債務整理の解決事例,相続を依頼しようとする方は相続の解決事例を見ようとするのではないかと思います。しかし,ご自身の依頼しようとする事件類型に限定して解決事例を見ない方がいいでしょう
 というのは,長年にわたって実務経験を積んだ弁護士には,何百件もの解決事例があります。ホームページ上に掲載された解決事例はそのごく一部にすぎません。うまく解決した事件でも特筆に値しないようなものまでホームページに掲載しないでしょう。そうすると,たとえば,債務整理,交通事故,相続,離婚,刑事事件などのありふれた分野では,特筆すべき事案でもない限り,ホームページ上の「解決事例」に掲載されていないことも多いと思います。
 また,弁護士の能力は,事案分析能力,起案能力(書面作成能力),証拠収集能力,交渉力などで決まります。これらの能力は,事件類型ごとに異なるのではなく,基本的にどの分野にも共通するものです。したがって,ご自身の依頼しようとする事件類型以外でも,優れた解決事例を持っている弁護士の能力は信頼していいと思います。むしろ,ご自身の依頼しようとする事件類型に限定して解決事例を見ていると,たとえば,債務整理を依頼しようとする場合,債務整理しかやったことがなく応用の効かない弁護士に依頼してしまうということにもなりかねません(なお,債務整理を多く処理している弁護士に能力がないと言うつもりではありませんので,念のため付け加えておきます)。

③ 弁護士の実務経験(経験年数)を確認する。

もう1点,弁護士の能力を判断するうえで一つの目安となるのが実務経験(経験年数)です。

実務経験が長ければ能力が高いとは必ずしもいえません。しかし,弁護士の能力は実務経験を積むことによって磨かれるという面もありますので,弁護士登録して数年程度の実務経験しかない弁護士は,どんなに頭脳明晰であっても,やはり「弁護士としての能力」という点では未熟な面もあると思います。

弁護士の実務経験については,日本弁護士連合会(日弁連)のホームページで「弁護士をさがす」から検索して,その弁護士の登録番号を見れば,おおよその経験年数(弁護士登録年度)を知ることができます。なお,弁護士の登録番号と登録年度の関係については,どなたかが「弁護士の登録番号と修習期の早見表」というものをネット上で公開していましたので,それを見れば参考になると思います。
 法律事務所のホームページにも,たいていは弁護士の経歴(特に弁護士登録年度)が掲載されているので,そこから弁護士の経験年数を知ることができます。

ただ,法律事務所のホームページを見ると,特に新人・若手と思われる弁護士に多いのですが,一応の経歴は掲載されているものの,何故か肝心の弁護士登録年度(経験年数)が記載されていない(隠されている?)ものをよく見かけます。
 このような場合には,日弁連のホームページで弁護士登録番号を調べましょう。また,司法試験制度が変わって新司法試験では法科大学院(ロースクール)卒業が原則となりましたので,「〇〇法科大学院卒業」と記載されていれば,比較的実務経験の浅い弁護士であるということが分かります。

④ 弁護士の「人柄」について

人柄・人間性については,弁護士に限ったことではなく,また,相性という問題もありますので,最終的には直接会って話をしてご自身で確かめるしかありません。一つの目安として,その人の書いている文章の表現や内容,顔写真などが参考になると思います。
 ホームページ上に顔写真を載せることはなかなか心理的抵抗があって,顔写真を載せていない弁護士も多いです。ただ,実際に会ってみると,優しく穏やかな「いい顔」(イケメン・美人という意味ではありません)をしている方もたくさんいます。

⑤ 多数の弁護士が所属する法律事務所に事件を依頼する場合の注意点

以上の基準でよく吟味して法律事務所を選んだとしても,自分が依頼しようと思った弁護士ではなく,同じ事務所に所属する他の弁護士が事件を担当したのでは何の意味もありません。
 そこで,事件を依頼するにあたっては,誰がその事件を担当するのかを十分に確認しましょう。

以上のとおりですが,「あれこれ考えずに簡単な弁護士選びの方法を知りたい」,「弁護士選びのマニュアルのようなものが欲しい」という方は,2019年1月13日コラム「消去法による弁護士選び(いかに情報を絞り込むか)」をご覧ください。また,地方在住の方は,2018年11月14日コラム「地方在住者が東京の弁護士に事件を依頼するメリット(地域性と弁護士費用)」もご覧ください。

『弁護士探し・選びの7つの誤解』に関連する記事です。

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