3.弁護士を選ぶ際に確認すべき最低限のポイントとは? | 専門分野と弁護士費用の疑問に答えます
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3.弁護士を選ぶ際に確認すべき最低限のポイントとは?

3.弁護士を選ぶ際に確認すべき最低限のポイントとは?

① 法律や弁護士業界(弁護士の能力・実績等)をよく知らなくても確認すべきポイントはあります。

あなたが法律や弁護士業界(弁護士の能力・実績等)を熟知していれば,弁護士の能力や実績を見極めて弁護士を選べばいいと思いますが,多くの方々はよく分からないと思います。では,法律や弁護士業界(弁護士の能力・実績等)をよく知らない多くの方々は,どのような基準で弁護士を選べばいいのでしょうか?

ホームページ上で「〇〇専門」や「〇〇に強い弁護士」などと謳われ,あるいは,多数の「実績」が裏付けもないまま表示されていたとしても,それが本当であるかどうかは分かりませんし,それを確認することも困難であると思います。さらに,その「実績」に客観的・具体的な裏付けがあったとしても,その「実績」が「他の弁護士ではなくその弁護士を選ぶ理由」となる「差別化された実績」といえるものであるのか判断することも難しいと思います。

そうであれば,ホームページを比較して弁護士を選ぶ(候補者を絞り込む)場合,最低条件として,「弁護士の能力・実績等の誇大表示や,相談者・依頼者の選択を誤らせるような形で宣伝広告をしていない,「取扱事件,解決事例,弁護士費用などについて,相談者・依頼者の誤解を招かないように,できる限り客観的・具体的な説明をしている」というのが,有効な判断基準になると思います。つまり,そのホームページが,相談者・依頼者側(顧客)の立場に立って,「顧客本位」という姿勢で作成されているということで,一言でいえば「誠実である」ということです。

誰しもが「能力が高く信頼できる弁護士」に相談・依頼したいと思うはずですが,「誠実さ」は信頼の基礎といえるでしょう。また,「誠実さ」を備えた弁護士は,相談者・依頼者のために,日々の研鑽を積んで,一つ一つの事件に誠意をもって取り組むでしょうから,それに伴って弁護士としての能力も向上し,依頼者の利益に適った解決を導いてくれる可能性が高いと考えられます。さらに,ホームページ上で「弁護士の能力・実績等の誇大表示や,相談者・依頼者の選択を誤らせるような形で宣伝広告をしていない」,つまり「等身大の自分自身を示している」ということは,自分自身の能力に自信があるという証しであるともいえます。

少なくとも,裏付けのない「〇〇専門」,「〇〇に強い弁護士」,「解決実績〇〇件」,「〇〇を解決しました」などの謳い文句は本気にしない方がいいと思います。

② 弁護士の実務経験(経験年数)を確認する。

さらに付け加えるとすれば,弁護士の実務経験(少なくとも一定程度の実務経験を積んでいること)も,弁護士選びの有効な判断要素の一つになると思います。

先ほどのとおり,実務経験が長ければ能力が高いとは必ずしもいえませんが,弁護士の能力は実務経験を積むことによって磨かれるという面もありますので,実務経験に乏しい弁護士は,どんなに頭脳明晰であっても,やはり「弁護士としての能力」という点では未熟な面もあると思います。弁護士の実務経験(登録年度・経験年数)については,日本弁護士連合会(日弁連)のホームページで「弁護士をさがす」から検索して,その弁護士の登録番号を確認すればおおよその見当がつきます(弁護士の登録番号と登録年度との関係については,先ほどのとおり,「弁護士の登録番号と修習期の早見表」がネット上で公開されています)。

③ 弁護士の解決事例を確認する。

弁護士の実績や解決事例も,弁護士選びの判断基準である「弁護士の能力」を推し量る有効な判断要素になると思います。

ただ,ここで注意しなければならないのは,ホームページ上の「相談実績〇〇件」,「解決実績〇〇件」,「〇〇を解決しました」,「お客様の声」など,何の裏付けもない抽象的な「実績」や「解決事例」は参考にならないということです。

仮にホームページ上の実績や解決事例を参考にしたいというのであれば,客観的・具体的な記載があるかどうかが信用できるかどうかの目安になると思います。
 たとえば,「〇〇を解決しました」ということであれば,その事件番号や裁判例が掲載されている法律雑誌等が引用されている場合には信用性が高いと思います。
 また,「お客様の声」であれば,依頼者の顔写真や氏名が公表されていたり,依頼者からの直筆の手紙が一緒に掲載され,その中で具体的な事件内容が記載されていたりするときには,ある程度信用できるかもしれません。

なお,ホームページ上に解決事例が掲載されていないというのはよくあることですが,そうであるからといって,その弁護士・法律事務所が,解決事例を掲載している弁護士・法律事務所よりも実績や解決事例に乏しいということにはなりません。
 長年にわたって実務経験を積んだ弁護士には,何百件もの解決事例があります。ホームページ上に掲載された解決事例はそのごく一部にすぎません。うまく解決した事件でも特筆に値しないようなものまでホームページに掲載しないでしょう。そうすると,たとえば,債務整理,交通事故,相続,離婚,刑事事件などのありふれた分野では,特筆すべき点がない限り,ホームページ上の「解決事例」に掲載されていないことも多いと思います。

④ あなたの事件の担当弁護士を確認する(特に多数の弁護士が所属する法律事務所に依頼する場合)。

以上の基準でよく吟味して法律事務所を選んだとしても,自分が依頼しようと思った弁護士ではなく,同じ法律事務所に所属する他の弁護士が事件を担当したのでは何の意味もありません。そこで,事件を依頼するにあたっては,誰がその事件を担当するのかを確認しましょう。

その法律事務所にどれだけ多くの弁護士が所属していたとしても,実際にあなたの事件を担当する弁護士は1人(多くても数人)です。弁護士の仕事は,基本的に個々の弁護士に委ねられた個人的な作業であり,事件解決の良し悪しは担当弁護士の手腕にかかっています。その法律事務所に所属する多数の弁護士が一丸となってあなたの事件を解決してくれるわけではありません。特に多数の弁護士が所属する法律事務所に事件を依頼する場合には注意しましょう。

以上のとおりですが,「あれこれ考えずに簡単な弁護士選びの方法を知りたい」,「弁護士選びのマニュアルのようなものが欲しい」という方は,2019年1月13日コラム「消去法による弁護士選び(いかに情報を絞り込むか)」をご覧ください。また,地方在住の方は,2018年11月14日「地方在住者が東京の弁護士に事件を依頼するメリット(地域性と弁護士費用)」もご覧ください。

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