一般民事事件(基本的な報酬基準) | 専門分野と弁護士費用の疑問に答えます
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一般民事事件(基本的な報酬基準)

1 着手金・報酬の算定方法(訴訟・第一審)

民事事件(訴訟事件)の着手金・報酬は,次の【着手金・報酬の算定基準】のとおり,「経済的利益の額」を基準として算定し,これに消費税10%を加算します。
 「経済的利益」とは,簡単にいえば,着手金については,その訴訟や交渉で請求した金額や物の評価額(原告・権利者側),又は請求された金額や物の評価額(被告・義務者側)をいい,報酬については,その訴訟や交渉で実際に権利を認められた金額や物の評価額(原告・権利者側),又は義務を免れた金額や物の評価額(被告・義務者側)をいいます。

【着手金・報酬の算定基準】

     (経済的利益の額)            (着手金)    (報 酬)

① 300万円以下の部分           (※1)8%      16%
② 300万円を超え3000万円以下の部分      5%      10%
③ 3000万円を超え3億円以下の部分    (※2)0円         6%
④ 3億円を超える部分            (※2)0円   (※2)0円

たとえば,原告が被告に対して500万円の支払いを求めて訴えを提起し,「被告は原告に対し400万円を支払え」との判決が出た事例では,着手金算定の基礎となる「経済的利益の額」は,原告・被告ともに500万円,報酬算定の基礎となる「経済的利益の額」は,原告については400万円,被告については100万円(500万円-400万円)になります。この場合,原告・被告の着手金・報酬は,それぞれ次のとおりとなります。
(原 告)
・着手金:300万円×8%+200万円×5%=34万円(消費税込み37万4000円)
・報 酬:300万円×16%+100万円×10%=58万円(消費税込み63万8000円)
(被 告)
・着手金:300万円×8%+200万円×5%=34万円(消費税込み37万4000円)
・報 酬:100万円×16%=16万円(消費税込み17万6000円)

もっとも,事案によっては,原告が被告に対し相場を大幅に超えた過大な請求をしてくるケースもあります。
 たとえば,不貞慰謝料は一般的に100万円~300万円程度が相場であるといわれていますが,原告が被告に対し500万円を請求するというケースもあります。このようなケースで500万円を基準として着手金を算定すると,事案の実態から離れて着手金が過大になってしまいます。そこで,当事務所では,このようなケースについて,たとえば,過去の同種事案を参考として200万円が上限であると思われる場合には,200万円を基準として着手金を算定しています。詳しくは,2019年12月12日コラム「注意!不倫問題(男女問題,慰謝料請求)に強い(専門)弁護士」もご覧ください。

(※1) 一般民事事件(訴訟)の着手金は,300万円以下の部分につき「経済的利益の額」の8%が原則ですが,この計算で着手金の額が16万5000円を下回る場合(「経済的利益の額」が187万5000円を下回る場合)には,一律に着手金を16万5000円としています。つまり,16万5000円が最低着手金額となります
 このような「最低着手金額」を定める法律事務所は多いと思われます。これは,弁護士の仕事量は必ずしも「経済的利益の額」に比例するものではなく,どんなに「経済的利益の額」が小さくても,弁護士が最低限やるべき仕事というものがあり,一般民事事件で16万5000円を下回るようでは採算が取れないケースが多いためです。ご理解いただきたいと思います。

(※2) 旧「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」では,前記【着手金・報酬の算定基準】の③「3000万円を超え3億円以下の部分」の着手金は「経済的利益の額」の3%,④「3億円を超える部分」の着手金は「経済的利益の額」の2%,報酬は「経済的利益の額」の4%になっています。この基準をそのまま採用する法律事務所が多いですが,当事務所では,これらの部分の着手金・報酬を頂かないこと(0円)にしています。
 これは,上記(※1)と逆の発想です。つまり,「経済的利益の額」が大きければそれだけ弁護士の責任は重大となりますが,「経済的利益の額」が極めて高額であっても,それに比例して弁護士の仕事量が多くなるわけではありません。そこで,「経済的利益の額」が一定額を超える場合には,その部分に相当する着手金・報酬を頂かないこと(0円)にしたものです。

当事務所では,「経済的利益の額」が高額な案件の場合に,着手金・報酬が割安になっています。
 特に,依頼者の方々には「依頼しやすく」という考え方の下に,着手金につきましては「経済的利益の額」がどんなに高額であっても174万9000円を上限としています。また,「結果を出した場合にその成果に応じて報酬を頂く」(成果主義)という考え方の下に,3000万円を超え3億円以下の部分については,着手金を頂かず報酬のみを頂いております。さらに,3億円を超える部分については,着手金のみならず報酬も頂いておりません。
 一般の方々にとっては,特に「経済的利益の額」が高額になることが見込まれる相続・遺産分割事件のような場合に,メリットの大きい報酬基準であるといえます(なお,遺産分割事件では,着手金について,「経済的利益の額」にかかわらず,比較的安価な一律定額制を採用しています。詳しくは,「お問合せの多い主な事件類型」の「6.相続(遺言,遺留分,遺産分割,相続放棄,限定承認)」のページをご確認ください)。

たとえば,依頼者が相手方に対して5億円を請求して4億円を回収したという場合の着手金・報酬について,旧「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」と当事務所の報酬基準を比較すると,次のようになります。
(旧「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」)
・着手金:300万円×8%+2700万円×5%+2億7000万円×3%+2億円×2%
    =1369万円(消費税込み1505万9000円)
・報 酬:300万円×16%+2700万円×10%+2億7000万円×6%+1億円×4%
    =2338万円(消費税込み2571万8000円)
(当事務所の報酬基準)
・着手金:300万円×8%+2700万円×5%
    =159万円(消費税込み174万9000円)
・報 酬:300万円×16%+2700万円×10%+2億7000万円×6%
    =1938万円(消費税込み2131万8000円)

2 示談交渉(訴訟前)

示談交渉(訴訟前)段階での着手金は,訴訟(第一審)の着手金の3分の2としています。つまり,前記【着手金・報酬の算定基準】によって算出された金額の3分の2になります。なお,調停を含む審判・非訟その他裁判所手続は,特に定めのない限り訴訟に準じて扱います
 ただし,訴訟(第一審)について述べたのと同様の考え方により,最低着手金額は11万円になります
 示談交渉(訴訟前)段階でご依頼されて,訴訟(第一審)に移行した場合の着手金額は,訴訟(第一審)段階でご依頼された場合の着手金額の3分の1としています。したがって,トータルで見ると,訴訟(第一審)段階でご依頼された場合と同額になります。
 できる限り早く事件に着手することが,損失拡大を防止し,より有利に交渉や訴訟を進めることにもなり,また,事件の早期解決にもつながりますので,着手金額を気にせず早い段階(訴訟前)からご依頼いただきたいと思います。

3 控訴審

① 第一審から引き続きご依頼いただく場合

着手金につきましては,第一審の勝敗(控訴人,被控訴人)にかかわらず,改めて発生しません。
 報酬につきましては,第一審の勝敗にかかわらず,控訴審終結時に控訴審の結果を基準に算定いたします(二重に報酬が発生するわけではありません)。
 ただし,控訴審の結果により一定の報酬が発生した場合であっても,相手方から上告受理申立てないし上告されて控訴審の結果が覆った場合には,それに応じて報酬減額又は無報酬といたします。

② 控訴審からご依頼いただく場合

第一審の報酬基準に従って着手金・報酬を算定いたします。
 報酬につきましては,控訴審の結果を基準に算定いたします。
 ただし,控訴審の結果により一定の報酬が発生した場合であっても,相手方から上告受理申立てないし上告されて控訴審の結果が覆った場合には,それに応じて報酬減額又は無報酬といたします。

③ 第一審でご依頼いただいて控訴審のご依頼がなかった場合

報酬につきましては,第一審の結果を基準に算定いたします。仮に当事務所が控訴審に関与せず控訴審で逆転敗訴して第一審の成果が失われたとしても同様です。

4 上告審

控訴審から引き続きご依頼いただく場合にも,原則として,改めて着手金が発生します。
 この場合の着手金は,原則として,第一審又は控訴審の着手金額の3分の1といたします。
 ただし,当事務所において,上告受理申立て又は上告に相当な理由があると判断した場合には,改めて着手金を頂くことなく,上告審をお引き受けいたします。

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