本件の事案概要は2018年2月17日のコラムに掲載したとおりですので,まずは事案把握のために,そちらをご覧ください。
この事件では,第一審(地裁)で勝訴し,控訴審(高裁)で敗訴しました。最高裁に対する上告理由(憲法違反など)や上告受理申立理由(判例違反や法令の解釈に関する重要事項など)は極めて限定されており,上告が受理されるだけでも(必ずしも主張が認められるわけではありません),その確率はせいぜい2~3%程度であるといわれています。そのため,控訴審で敗訴しても,上告又は上告受理申立てをすることはあまりありません。ただ,本件については,控訴審判決には到底納得できず,同判決を覆す十分な理由があると思われたので,上告受理申立てをしました。しかし,やはり結果は不受理決定(書面審査での門前払い)でした。
上告受理申立理由書は,第一審及び控訴審における原告(被控訴人)の主張の集大成として,これを網羅的に整理し,被告(控訴人)の主張並びに第一審及び控訴審判決の内容も示しています。そこで,この上告受理申立理由書をピックアップしました。ぜひご覧ください。
なお,この上告受理申立理由書は,当事務所弁護士が平成25年5月31日(弁護士登録7年目)に作成した書面です。
上告受理申立理由書の全文はこちら(※準備中)
かなり分量の多い書面ですが(全51頁),27ページから43ページまでは,現場や遺体の状況から転落事故の原因・状況を推理する内容になっているので,目次を参照しながら,この部分だけでも,推理小説を読むつもりで一緒に推理してみるとおもしろいかもしれません。特にベランダからの転落原因については,元東京都監察医務院長・医学博士の上野正彦氏の文献も引用して科学的分析を行っています。
なお,上野正彦氏は,「死体は語る」(時事通信社),「ヒトは,こんなことで死んでしまうのか(監察医・上野正彦が死因の不思議を科学する!)」(インデックス・コミュニケーションズ),「自殺の9割は他殺である」(株式会社カンゼン)などの著書でも有名で,監察医として数々の難事件を解決してきた方です。