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貸金業者や債権回収会社から通知書(督促状)が届いた方へ(借金・債務整理)

貸金業者や債権回収会社から通知書(督促状)が届いた方へ(借金・債務整理)

① 最後の取引(借入れ・返済)から5年近く経過している方は要注意!

貸金業者,信販会社,債権回収会社等から通知書(督促状)が届いたということは,債務(借入金や立替金)の返済に窮して,滞納に陥ってしまったということでしょう。
 最後の取引(借入れ・返済)から5年近くが経過していない方は,今後の支払方法や債務整理を検討しなければならないでしょうから,②以下をお読みください。最後の取引(借入れ・返済)から5年近くが経過している方(そのような借入先が1社でもある方)は,要注意ですので,まずはこの項目(①)をお読みください。

貸金業者や信販会社の債権(貸金や立替金の返還請求権)は,最後の取引(借入れ・返済)から起算して5年で消滅時効が完成します(商法522条)。したがって,この5年が経過していれば,あなた(債務者)は,消滅時効を主張(「援用」といいます)して,残りの借入金や立替金の返済を免れることができます。ただし,5年経過前に訴訟を起こされて判決が確定したような場合には,時効期間はその時点から10年間に延長されます(民法174条の2第1項)。
ここで注意しなければならないのは,時効完成前(民法147条3号)か後かに拘わらず,「債務の承認」をすると消滅時効を援用できなくなる(その時点から改めて消滅時効期間が起算される)ということです。「債務の承認」というのは,簡単にいえば,借入金や立替金の返済を認めるということです。債権者(金融機関)に対して返済猶予を求めたり,分割返済を求めたり,示談の話合いをしたりすることも「債務の承認」とされる可能性があるので,注意が必要です。
 たとえば,返済を滞ってしばらくすると,貸金業者や債権回収業者から「示談のご提案」などとして,残債務額を大幅にカットして少額の分割返済を提案してくるような場合があります。債務を大幅にカットしてくれたり,少額の分割返済を認めてくれたりするのであれば,メリットが大きいと思って,その提案に乗ろうと考える方もいるかもしれません。しかし,この提案に乗ると,「債務の承認」として消滅時効を援用できなくなってしまいます。特に,このような提案は,最後の取引から5年が経過した後,あるいは5年経過間近になってくるケースが多く見られるので,注意が必要です。

もし,最後の取引から5年が経過した後,あるいは5年経過間近になって,貸金業者や債権回収業者から通知書(督促状,和解の提案など)が届いた場合には,すぐに応じるのではなく,まずは弁護士に相談した方がいいと思います。その際(特に電話連絡があった場合),和解(示談)の提案に応じなくても,返済猶予を求めるなど「債務の承認」と捉えられる返答をすると,消滅時効を援用できなくなるおそれもありますので,一切返答せず(「とりあえず弁護士に相談してみる」など返答を留保して),早めに弁護士に相談してください。

② 滞納を続けるとどうなるのか?

貸金業者や信販会社への返済を滞り,そのまま滞納を続けて一定期間(概ね3か月程度)が経過すると,事故扱いとなって,信用情報機関(いわゆるブラックリスト)にあなた(債務者)の情報が登録されてしまいます
信用情報機関に登録されると,借入先の金融機関だけでなく,同種の金融機関についても,新たな借入れやクレジットカード(それに付随するETCカード等も含む)の利用ができなくなります。そして,その後に借入金や立替金について完済や債務整理などをして数年間(一般的に5年程度といわれています)が経過するまでは,新たな借入れやクレジットカードの利用ができません(ただし,各信用情報機関によって扱いが異なります)。

滞納を続けると,貸金業者や信販会社からは,貸金や立替金の返済を求める訴訟を起こされたり,示談交渉(分割返済の合意など)を求められたりすると思います。保証人がいる(借入れ等の際に申込書に保証人を記入した)場合には,保証人にも貸金や立替金の返済を求める連絡があるはずです。
 貸金業者や信販会社から訴訟を起こされて判決が確定すると,給与や預金を差し押さえられる可能性があります。特に,金融機関に勤務先を知られている(借入れ等の際に申込書に勤務先を記入していた)場合には,給与を差し押さえられる可能性が高いと思われます。また,クレジットで自動車などの高額商品(換価処分可能な商品)を購入した場合には,その商品が引き揚げられる可能性もあります。

③ 今後も借入れやクレジットカード利用を続けたい場合には?

今後も新たな借入れやクレジットカード利用を続けたいのであれば,信用情報機関にあなた(債務者)の事故情報が登録される前に,原則として約定どおり返済を続けるほかありません。
 もっとも,長期間にわたって利息制限法の上限利率(年利15~20%)を超える利息を支払ってきた場合には,過払金が発生している可能性があります(ただし,ショッピングだけではもともと過払金は発生しませんし,キャッシングについても,一般的な業者であれば遅くとも平成22年6月以降は利息制限法を遵守するようになったので,それ以降に借入れを開始した場合には過払金は発生しません)。過払金が発生している場合には,約定残債務(契約上の残債務)を一切返済する必要はなく,過払金の返還を求めることができ,信用情報機関に登録される心配もありません。過払金返還を求めた場合には,その金融機関との契約は終了し,新たな借入れ等を認めてくれないケースもありますが,信用情報機関に登録されなければ,他の金融機関で新たな借入れをしたりクレジットカードを作ったりすることも可能です。
 また,過払金が発生していなくても,利息制限法に基づいて引き直し計算をしてみると,思いの外,残債務額が少なくなっている可能性もあります。この場合,引き直し計算後の債務を期限どおり完済すれば,残りの約定債務を支払わなくても,信用情報機関に登録されることはなく,他の金融機関で新たな借入れをしたりクレジットカードを作ったりすることも可能です。

利息制限法に基づいた残債務額や過払金の有無を知るには,借入先の金融機関から取引履歴を取り付けて引き直し計算してみる必要があります。貸金業者や信販会社の明細書や督促状に記載された約定残債務額からすると返済を続けられないと思っても,引き直し計算をしてみると,すでに完済して過払金が発生している可能性があり,また,過払金が発生していなくても残債務が大幅に減少して十分に返済可能だという可能性もあります。このようなケースでは,債務整理をせずに(信用情報機関に登録されずに),過払金を回収し,あるいは,債務額を大幅に減額して返済を継続することも可能です
 借金やクレジットカードの支払いで苦しんでいる方々の中には,弁護士に依頼して債務整理をすれば,信用情報機関に登録されて新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなると思って,それを回避するためにやむを得ず,約定どおりの返済を続けている方も少なくないのではないかと思います。しかし,先ほどのとおり,利息制限法に基づく引き直し計算をしてみると,過払金が発生していたり,債務額を大幅に減額できたりする可能性もあります。弁護士としても,いきなり債務整理(各債権者宛てに支払停止を告知する旨の受任通知の発送)に入るのではなく,まずは,各金融機関から取引履歴を取り付けて,債務整理(信用情報機関への登録)を回避できるか否かを検討するので,信用情報機関への登録を回避したい(新たな借入れやクレジットカードの利用を続けたい)と思っている方も,是非,弁護士にご相談ください。

④ 返済を続けられない場合はどう対応すべきか?(任意整理,自己破産,個人再生)

利息制限法に基づく引き直し計算をしても,多額の債務が残って期限どおりに返済を続けていくことができないという場合には,債務整理を検討せざるを得ません。この場合には信用情報機関への登録は避けられません。
 一般個人の債務整理の方法としては,任意整理,自己破産,個人再生があります。

任意整理は,債務者の支払能力を考慮して分割返済計画を立て,各金融機関と個別に交渉して和解するという方法です。各金融機関に対する毎月の返済額は,必ずしも約定の返済額に捉われる必要はなく,弁護士が介入した時点の残債務額を基準として(原則的に将来利息は考慮しません),概ね3年で完済できる内容であれば,ほとんどの金融機関で難なく和解可能です(5年以内であれば和解できる可能性は十分にあります)。本来であれば完済するまで利息が発生しますが,弁護士が介入して任意整理をすれば,弁護士介入後に発生すべき利息(将来利息)をカットできるという点でもメリットがあります

任意整理(3~5年での分割返済)でも返済が難しいという場合には,法的整理(自己破産,個人再生)を検討せざるを得ません。また,任意整理が必ずしも困難でない場合でも,法的整理は可能です。法的整理の方が免責(債務免除)や残債務の大幅カットが認められるという点でメリットが大きいといえます。

自己破産は,債務超過の場合(負債が資産を超えている場合)に,資産を換価して債務の返済(配当)に充て,特段の事情(財産の隠匿,極端な浪費など)がない限り,残りの債務(税金など一部の債務を除く)を免責(免除)するという制度です。「特段の事情がない限り」とはいっても,実際上は,よほどのことがない限り免責が認められ,免責不許可となるケースは稀です。自己破産はほとんどの債務を免責されるためメリットが大きいですが,資産価値のある財産は基本的にすべて債権者への配当に充てられてしまうため,自宅(不動産)や自動車などを所有し,これを確保したいという場合には使えません

個人再生は,債務超過の場合に,債務を大幅にカットして,減額された債務(たとえば,債務総額が500万円を超え1500万円以下の場合には債務総額の5分の1)を原則として3年以内で分割返済するという制度です。個人再生の場合にも,自己破産と同様に,少なくとも保有資産以上の返済をしなければならないので(清算価値保障の原則),資産が負債を超えている場合には意味がありません。ただ,債務超過の場合で,特定の財産,特に住宅ローンを抱える自宅を確保したいというとき(この場合には自己破産は使えません)には,住宅ローンは約定どおり支払って自宅を確保しつつ,その他の債務を大幅にカットできるという点で,任意整理よりも個人再生の方が大きなメリットがあります

⑤ 弁護士に借金問題(過払金請求,消滅時効,債務整理)を相談・依頼する場合の注意点

以上のとおり,「借金問題」といっても,必ずしも狭義の債務整理(信用情報機関への登録を伴う債務整理)をする必要はなく,利息制限法に基づく引き直し計算による債務減額や過払金請求,消滅時効援用だけで済むケースも考えられます。また,債務整理の中にも,任意整理,自己破産,個人再生といった方法があります。
 いずれの方法をとるかについては,担当弁護士が,依頼者の資産状況,支払能力その他事情を考慮して,最も適した方法を提案してくれると思います。

ただ,弁護士の中には,先ほどのように信用情報機関への登録を回避できるにもかかわらず,その点を考慮せずに受任通知(支払停止の告知)を発送する者もいるかもしれません。また,弁護士にとっては,過払金回収は簡単で利益になりやすく,債務整理の中でも任意整理が最も簡単であるため,依頼者の利益も考えずに(依頼者の支払能力から考えて任意整理による完済が不可能であるにもかかわらず),過払金回収だけして,あとは任意整理で済ませる(自己破産や個人再生を避ける)という弁護士もいるかもしれません。
 法テラスや弁護士会の法律相談(クレサラ相談)を担当していると,「他の弁護士に債務整理を依頼して過払金回収と任意整理をしてもらったが,途中で辞任された(あるいは,途中で返済できなくなり,再度その弁護士に依頼したが,受任を断られた)。法テラスや弁護士会の法律相談に行きなさいと言われた。」と言って,相談にやってくる方がいます。このようなケースは,そもそも任意整理での返済計画に無理があり,当初から自己破産や個人再生をすべきであったと思われる事案です。過払金回収だけやって,あとは適当に各債権者との間で分割返済の和解(任意整理)をして終了というのでは,依頼者の生活再建を全く考えていないといわざるを得ません。

このような点を踏まえて,法律相談の際には,担当弁護士が,任意整理,自己破産,個人再生それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明して,あなたの事案にはどの方法が適しているのかをきちんと考えてくれているのかをよく確認して,慎重に選んでいただきたいと思います。いったん法律相談をしたからといって,必ずしもその弁護士に事件を依頼しなければならないわけではありません。もしも,その弁護士が過払金回収だけを考えてあなたの生活再建を考えてくれていないと感じたら,いったん依頼してもすぐに契約解除して,他の弁護士に相談・依頼した方がいいと思います。すでに着手金を支払っていても,途中で委任契約を解除した場合は,着手金の一部又は大半が返還されるケースもありますので,その点も含めて他の弁護士に相談した方がいいかもしれません。

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