事件の「元請け」,「下請け」それぞれの目的と相互の関係性 | 専門分野と弁護士費用の疑問に答えます
Loading

事件の「元請け」,「下請け」それぞれの目的と相互の関係性

ここでは,依頼者からファーストコンタクトを受けて事件を受任した弁護士を「元請け」(プライムコントラクタ)と表現し,「元請け」から共同受任を打診されてこれを引き受けた弁護士を「下請け」(サブコントラクタ)と表現します(「元請け」や「下請け」は,必ずしも適切な表現ではないかもしれませんが,端的に分かりやすい表現として使用するので,ご容赦ください。)。

 

1 当事務所が協力弁護士(下請け)を求める目的と共同受任事件での関係性

元請けは,自ら集客コストをかけて宣伝広告し又は自らの信用と責任に依拠して事件を受任します。受任した事件については,本来であれば,元請けが単独で事件対応することによって弁護士報酬(着手金及び成功報酬等)を独占することもできます。ただ,そのときどきの状況によっては,単独で当該事件に対応する十分な時間をとれないこともあります。そのような場合は,元請けが自らの不足する時間を補い,いわば「時間の調整弁」としての役割を下請けに担ってもらうという目的で,当該事件を共同受任します。
 当事務所では,当事務所弁護士と協力弁護士とが対等公平な立場で事件を共同受任し(弁護士の年齢や修習期は関係ありません。),弁護士報酬は原則として1:1に分配することとし,仕事の分担もできる限り1:1にしたいと考えています。ただ,厳密な意味で仕事を1:1で分担するというのは難しく,また,そもそも,元請けにとって共同受任の目的が,下請けに「時間の調整弁」としての役割を担ってもらうということにあります。そこで,下請けには,ある程度の時間的余裕をもって柔軟に事件対応可能であることを前提として,元請けからの「指示待ち」ではなく,自ら主体となって率先して,事件対応の方針や段取りを検討して元請けに提案し,期限や時効の管理,関係資料の収集・整理,主張書面等の関係書類の起案などを行うという心構えを持ってもらいたいと考えています
 他方で,当事務所としても,仕事を下請けに丸投げして,弁護士報酬だけ過大に持っていく(搾取する)などという横柄又は不遜な対応をするつもりは一切ありません(仕事を丸投げするのであれば,その弁護士の単独受任という形ですべてお任せし,当然ながら,弁護士報酬も全額受け取ってもらいます。)。「仕事の丸投げ」という対応は,当事務所を信用してくださった依頼者の方々に対する裏切りにもなるので論外です。基本的には下請けに「時間の調整弁」としての役割を担ってもらうとしても,できる限り下請けのスケジュールにも合わせて,互いに誠意をもって対等公平に協力して事件対応していきたいと考えております。その結果として,下請けが多くの時間と能力を割いて事件対応した場合は,それに応じて弁護士報酬の6割,7割,8割,……などを下請けに配分したいと考えています。イメージとしては,結果的に下請けが6~7割程度の仕事をして弁護士報酬の6割を受け取ってもらうくらいが理想であると考えています(元請けは集客コストをかけ,かつ,事件受任の「前捌き」をしたうえに,元請けとしての信用又は責任もあるので,その点は下請けにも考慮してもらいたいと思います。)。

 

2 協力弁護士(下請け)に対して「特に強く求めたいこと」

協力弁護士としては,当事務所から共同受任の打診があったとき,必ずしも当該事件を共同受任しなければならないわけではありません。そのときの都合又は時間的余裕,当該事件の性質,仕事の負担,弁護士報酬の分配額などを考慮して,自らにメリットがあるのか否かによって共同受任に応じるか否かを決めていただいて結構です。ただし,共同受任した以上は,元請けの目的(下請けに「時間の調整弁」としての役割を担ってもらうということ)には十分配慮して誠意をもって対応してほしいと思います。
 当事務所として一番困るのは,下請けとして共同受任したにもかかわらず,自ら主体となって率先して事件対応しようとせず,あたかも当該事件対応を自らの「時間の調整弁」又は「すきま時間の埋め合わせ」として利用するかの如く,自分の手持ち事件の合間に当該事件を処理しようとする対応をされることです
 仮に協力弁護士が最初から「弁護士報酬のうち3割の分配でいいので,仕事の分担も3割程度でいいではないか。」などと考えていたとすれば,そもそも共同受任を引き受けないでもらいたいと思います。仮に「下請けが元請けの都合も考えずに自らの時間の合間に3割程度の仕事しかやらない(その代わりに弁護士報酬の3割だけをもらう)」というのであれば,当事務所(元請け)にとっては,3割相当の時間や労力の節約にすらなりません。
 むしろ,このような場合は,下請けの都合に合わせて元請けが7割の仕事をしなければならなくなるうえに(さもなければ依頼者に迷惑が掛かります。),共同受任したことによって事務連絡などの余計な雑用が増えて,結局のところ,全く何のメリットもなく,ただ単に弁護士報酬の3割を失うだけです。また,当事務所としても「結果的に3割の仕事しかしなかったから弁護士報酬の分配を3割に減額する」などとも言いづらいので,実際は3割どころの損失では済まないと思います。さらに,当該協力弁護士が共同受任しなければ他の誠実な協力弁護士と共同受任することができたはずであり,そのような機会まで奪われることにもなって迷惑でしかなく,当事務所にとっては死活問題です。

3 求めるのは対等関係と「誠実さ」だけ(「誠実さ」は貴重かつ稀少だと実感しています)

当事務所としては,逆に協力弁護士から「協力弁護士を元請け,当事務所弁護士を下請け」とする共同受任の打診があれば,これを拒絶するものではありません。当事務所弁護士としても,他の弁護士から十分に「品定め」してもらったうえで,高く評価されて共同受任を打診されるのであれば,それは誇らしく有難いことです。
 当事務所弁護士が下請けの立場であれば,当然ながら,元請けの目的(下請けに「時間の調整弁」としての役割を担ってもらうということ等)に十分配慮して誠意をもって対応するつもりです。当事務所弁護士は,弁護士登録時からの過去10年余りにわたって,複数の先輩弁護士のもとで,下請けの立場で仕事をすることが多かったですが,弁護士報酬の配分に拘わらず,常に,自らが主体となって率先して,事件対応の段取りを検討して元請けに提案し,期限や時効の管理,関係資料の収集・整理,主張書面等の関係書類の起案などのほとんどを行うという心構えを持って,各事件に臨んでいました。

当事務所としては,弁護士の年齢や修習期に関係なく,相互に誠意をもって対応し,かつ,対等公平な関係を形成し,心から信頼して長期間にわたって継続的に協力関係を保つことができる協力弁護士を求めています。
 地域限定もありません。東京三弁護士会など近隣地域に限らず,日本全国どの弁護士会に所属する弁護士であっても,大歓迎です。今後は,民事訴訟手続のIT化等によって,事務所(所属弁護士会)や管轄裁判所の所在地による事件受任の障壁は低くなっていくと思われます。
 協力弁護士として求める条件はただ一つ。相手(当事務所弁護士その他共同受任した弁護士)の立場に配慮して,相互に誠意をもって,真摯に当該事件対応に取り組もうとする姿勢だけです。そのほかは特に求めていません。
 本当に切実な思いで,協力弁護士を求めています。現在でも,複数の弁護士と協力関係にありますが,協力弁護士にもそれぞれの予定があるので,必ずしも当事務所の都合に合わせて「下請け」になってもらえるとは限りません(そのしわ寄せを依頼者に負担させるわけにはいかないので,結果的に,当事務所弁護士が協力弁護士の都合に合わせる形で事件対応しなければならないことも多く,これでは当事務所にとって何のための共同受任かわかりません。)。したがって,できる限り多くの弁護士と協力関係を形成したいと考えています。

協力弁護士募集 お問合せ

 

フォームでお問合せ

PAGE TOP